こんにちは、渡邉です。

第24回は、第5回にも来てくださった大久保友博/ゆう さんにもう一度お越しいただきました。

第5回では、翻訳という仕事がどのような環境で行われてきたのか、歴史をたどってご紹介いただきました。今でこそ翻訳というとデスクワークのようなイメージが定着していますが、現代における翻訳ももっといろいろな形があって良いのでは?というお話をしてくださいました。

今回は、その話題の続きのような形で、翻訳(特に文芸翻訳)に、形式にとらわれず携わる方々のお話をうかがいました。翻訳同人誌を複数ご紹介いただき、制作者の方々がどのようなモチベーションで、どのようなプロセスで世に自分たちの翻訳を公開しているのかというようなことを山田先生との対談形式で語っていただきました。

ご紹介いただいた翻訳同人誌を2つ、以下に掲載しておきます。

  • BABELZINE by 週末翻訳クラブ・バベルうお(Twitter
  • ほんやく日和19-20世紀女性作家作品集(Twitter

同人誌の制作者には文学ファンもいれば、プロの翻訳者もいるということです。

このように自分たちで翻訳したい本を見つけて翻訳し、同人誌といった形で公開して、出版社の目に留まれば改めて出版できることがあるとは夢が膨らみますよね。

そこには著作権の問題や、自費出版となると費用の問題も出てくるので壁は高い気もしてしまいますが…ただ、インターネットがこれだけ普及していると、大久保先生のようにTwitterで詩の翻訳を公開することだけでも世間へのアピールとなることがあるかもしれません。

何より、大久保先生のお話を聞いていると翻訳愛というか、そんな次元を超えて翻訳は日常生活にあってしかるべきものであるというような印象を受けます。

また、「趣味でやった翻訳以外は自分の訳とはいいがたい」というような話もうかがいました。翻訳がビジネスである以上はしがらみがあるため、完全に趣味でやった翻訳はどこかに置いておかないと自我を保っておけない、とのことでした。

大久保先生ならではのお考えかと思いますが、共感される翻訳者の方々は多いのではないでしょうか。

また、Q&Aセッションでは翻訳をするモチベーションに関する質問が上がりました。大久保先生は、この本に対して自分の翻訳がほしい!と思えた時に、「趣味としての翻訳」が生まれるとおっしゃっていました。さらに、翻訳の息抜きがまた翻訳であるともおっしゃっていました。

他にも新訳をつくっていく際の心持ちなどに関して楽しいお話をたくさんうかがいましたので、ご興味おありの方はぜひアーカイブをご視聴ください。

最後に個人的な話なのですが、私も社会人になってから数か月間、翻訳のお仕事をさせてもらっています。複業をしているのですが、翻訳「周辺」の仕事が多く、翻訳自体に時間をさけない時期はなんだか心が荒んでくるのですよね。今回は、翻訳者としてのアイデンティティと今後の自分のキャリアについても考える機会となりました。

大久保先生にこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。

ご参加いただいた皆さまも、いつもながらありがとうございました。

来週で一度シーズン1の最終回とし、その次の回からは新生翻訳カフェとして試行錯誤しながら、皆さまと楽しく議論できる場であり続けたいと思います。

現会員のみなさま、いつもありがとうございます。

登録はしたけれどあまりご参加いただけていない方、未登録の方、一同お待ちしておりますのでぜひ来週ご参加ください。