今回は今月のまとめの配信となります。今シーズンのテーマ「プロセス」に関連して、「リンギスト」について再考してみました。

言語を総合的に扱う存在としてのリンギストについて、今月聞かせていただいた様々なジャンルのプロセスのお話を踏まえながらディスカッションしました。

ご参加くださった皆さま、ありがとうございました!

シーズン2の終わりには、皆さまと議論してきたことを何かしらの形でアウトプットしたいと考えております!今回のテーマもその要素の一つになるかもしれませんので、見逃してしまった皆さまもぜひアーカイブをご覧ください☺︎

今月のまとめ

ディスカッションの前に、山田先生から今月のまとめとリンギストの関連についてお話していただきました。今月は2名のゲストスピーカーをお招きし、それぞれの専門を活かしたお話をしてくださいました。

まずは、佐々木さんから医療通訳とテクノロジーに関するお話をしていただきました。専門性の高い分野でありながら、ボランティアなどアマチュア通訳者に依存している現状を鑑みた上で、「最低限の品質に到達するためのプロセス」について考えることができました。

次に、日下部さんに、ご自身で考案された翻訳評価軸「LED」についてご共有いただきました。最低限の品質を保つだけではプロとして生き残れないという予見のもと、「最低限より上の品質を目指すプロセス」についてアイデアをいただきました。

上記2点はどちらも通訳翻訳のプロダクトのプロセスのお話でした。

リンギストとは?

ご存知の通りですが、翻訳プロセスには様々な役割を持つ複数の人が関わっています。プロセスには、翻訳者さんは当然ですが、クライアントから引き合いをもらう営業さんやプロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャーさんといった、翻訳の実務に直接的には関わらない役割の方々も含まれます。

ということは、プロダクトを完成させるプロセスを進める傍らで、プロジェクトを遂行させるプロセスも管理していかねばならないということです。

その際に、言語や翻訳を深く理解している存在が必要になってきます。その存在こそが、リンギストなのではないかとのことです。

場合によっては、リンギストがクライアントと交渉したり、翻訳データを事前に整えたりする必要があるかもしれません。

ディスカッション

「リンギストは必要か?」「そもそもリンギストについてどう思うか?」という議題のもと、ご参加の皆さまと話し合い、以下のようなご意見をいただきました。

・翻訳に関わる人の総称がリンギストかもしれない
・リンギストの守備範囲を定義していく必要がある
・リンギストはそれぞれの異なる立場の認識を統一できるかもしれない
・リンギスト以前に通訳翻訳という仕事の実態を周知させる必要がある

リンギストという概念はまだ確立していません。だからこそ、今、話し合う必要があるのだと思います。最後に山田先生がおっしゃっていたのですが、そういった議論の中で現れてきた問題こそが一般の方々にも知って欲しいことなのかもしれません。それを伝えられるようになるためにも、これからも様々な観点から皆さまと議論を深めていければ嬉しいです。

今回も熱い議論を交わしてくださった皆さま、ありがとうございました。
ご興味を持ってくださった方は、会員登録の上、アーカイブをご視聴ください!

次回は…

10/4 21:00~ ゲストに北村富弘さんをお招きします!
北村さんは経験豊富な実務者である一方で、訳出プロセスを扱う研究者でもあられます。
詳しくは告知記事をご覧ください。次回も皆さまの奮ってのご参加お待ちしております!

(文責:岡村ゆうき)