2025年6月9日の翻訳カフェのテーマは「ドナルド・キーンの翻訳論」です。運営の河野がメインでお話します。

日本文学の世界的権威として知られ、日本文化研究の第一人者であったドナルド・キーン(1922-2019)の翻訳思想と実践について考察いたします。近松門左衛門・松尾芭蕉・太宰治・三島由紀夫など古典から現代文学まで幅広く研究対象とし、数多くの日本文学作品を英語に翻訳して世界に紹介したキーンの業績を通じて、翻訳の新たな可能性を探ります。

今回の翻訳カフェでは、『ドナルド・キーン著作集』(新潮社、全15巻)に収録されている翻訳論および翻訳実践を中心に、以下のテーマについて検討いたします。

キーンの翻訳哲学と方法論

「日本文学の伝道師」を自認し、主に英語圏への日本文化の紹介・解説者として大きな役割を果たしたキーンが、どのような翻訳観を持ち、いかにして原文の文化的背景を異言語に移植したのかについて探求します。

古典から現代まで――翻訳対象の多様性

万葉集や19世紀日本文学の英訳から、近松門左衛門、松尾芭蕉、太宰治、三島由紀夫などの作品翻訳まで、キーンがいかに時代を超えた日本文学の魅力を英語読者に伝えたかを検証します。

文化の架け橋としての翻訳者

コロンビア大学名誉教授として長年にわたり日本文学を海外に紹介し続けたキーンの実践から、翻訳者が果たすべき文化的役割について考察します。

2011年の東日本大震災を契機に日本国籍を取得し日本に永住する意思を表明した、日本への深い愛情を持つ学者の翻訳論にご関心がある方、文学翻訳や文化間交流に興味をお持ちの方、ぜひご参加ください。

皆様のご参加をお待ちしております!