2025年12月1日(月)の翻訳カフェでは、「製薬業界における『翻訳』ってどうなの?」と題し、アスカコーポレーションの古谷さんをゲストに迎え、メディカル分野の翻訳業界が直面する課題と将来像について深く掘り下げました。
アフタートークでは、翻訳業界全体に通じる「AI時代における翻訳会社の生き残り戦略」や「翻訳者・翻訳会社間の格差」といったテーマについて、活発な議論が交わされました。
1. 製薬業界の現状:翻訳は「壁」であり「チャンス」でもある
セッションでは、製薬業界における2大トレンドとして、ドラッグラグ・ロスの解消とAI活用の拡大が挙げられました。
- 翻訳需要の増加と経費削減の圧力: 国際共同治験の増加や、海外医薬品の導入により翻訳の機会は増えているものの、同時に経費削減の圧力も強まっています。
- 翻訳が障壁に: 製薬業界では、翻訳自体が治験実施の障壁(ネック)と見なされている現状が報告されました。この「障壁をできるだけ下げる」ことが、翻訳会社に課せられた最大の使命となっています。
2. 翻訳会社の活路:スピードの極限追求とツールリテラシー
製薬業界の顧客ニーズに応えるため、翻訳会社は従来のビジネスモデルからの脱却を図っています。
- ツール活用による高速化: アスカコーポレーションは、生成AIのフル活用を翻訳だけでなく、多様なツールを組み合わせています。その結果、翻訳時間43%削減、治験実施計画書の提出を7日間で実現といった具体的な成果を上げています。
- 翻訳会社間の格差拡大: 翻訳者に見られた「ツールリテラシー(AIリテラシー)の高い人とそうでない人との格差」が、そのまま翻訳会社間にも広がっていると指摘されました。この変化に対応できない翻訳会社は、仕事が減少する可能性に直面しています。
- 求められる姿勢: 翻訳会社側には、クライアントの要請に対し「その仕事は私の仕事ではありません」と言わない柔軟性と挑戦の姿勢が求められています。
3. 翻訳業界の未来:ダイナミックな変化への対応力
議論は、翻訳業界全体が直面する長期的な課題へと進みました。
- 終わらない過渡期: AIの進化は続き、現場の仕事の形態がどのように変化するかは予測が難しく、この「過渡期」は5年以上続くという見解が示されました。
- 仕事は無くならないが形は変わる: 従来型の翻訳者の仕事ではないかもしれないが、「翻訳としか言いようがない仕事」自体は決してなくならないという確信が共有されました。
- 育成の難しさ: AIによるゲームルールの変化が激しい中、教育機関が「何をコアな基礎力として教えるべきか」の見極めが非常に難しいという、教育者としての課題も語られました。
このアフタートークは、翻訳業界のプロフェッショナル、特に翻訳会社や製薬関連の翻訳者にとって、今後の戦略を考える上で貴重な示唆に富んだ内容となりました。
本編では、製薬業界の中での翻訳会社の位置づけなどを学べる古谷さんのご説明や変化する仕事内容やツールについて盛り上がった議論などより詳細な内容をご覧いただけます。ぜひアーカイブにてご確認ください。
セッション本編および実際のアーカイブは、翻訳カフェの有料会員様限定(月1200円・初月無料)の公開となっております。時代の変化と言葉のあり方について深い洞察を得るために、ぜひご入会をご検討ください。
「持続可能な翻訳の未来」を「アカデミア」と「業界の専門家」の視点から学び、本音で議論できる「クローズド」の「(既存の学会や協会と違う)
オルタナ」の場にぜひご参加ください!
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