第34回の配信では、これまで議論してきた「順送り」を改めて振り返った上で、翻訳の付加価値について考えました。「良い翻訳とは何なのか」をテーマに、今回も多くの貴重なご意見が交わされました。
トーク
山田先生から以下の2つのテーマでお話ししていただきました。
- 今月ずっと扱ってきた「順送り」の認知度
- 「良い翻訳」とは? 翻訳の付加価値とは?
1つ目はアカデミアの世界と実務の世界で「順送り」の認知度に差があるという話でした。
順送りは、通時的に見て最近認識されなくなってしまったという側面もあるそうです。昔から「順送り」のような訳出方法は認識されていた一方で、様々なパラダイムシフトの中で逆送りの風潮が強くなっていったという歴史の流れがあるともいえるようです。
それから話のテーマは「良い翻訳とは」ということに移りました。今月ずっと話し合ってきた順送りも「良い翻訳」の一つの要素として考えられると山田先生はおっしゃっていました。
また、良い翻訳について考えるにあたり『翻訳を失敗しないために』という文献もご紹介いただきました。
翻訳者目線、翻訳された文書を使う(読む)目線、研究者の目線などで意見は多様だと思いますが、翻訳カフェではその全ての視点を取り入れて思考を深めていきたいとのことでした。
そんな翻訳カフェの配信は毎週アーカイブ化して会員様限定で公開しております。
ご興味を持ってくださった方はぜひ下記よりご登録の上配信にもご参加ください!
ディスカッション
ディスカッションの時間には、いつものように大変有意義な議論がなされ、たくさんのご意見をいただきました。例を以下に並べてみます。
順送り全般について
- 順送り(訳し下げ)& 逆送り(訳し上げ)と直訳&意訳は同じ舞台で考えない
- 順送りは産業の場や実務の場ではほとんど(明示的には)議論されていない
- 改めて自分の翻訳を見直してみると意外と順送りをしていたことに気が付いた
翻訳の(付加)価値とは?良い翻訳を実現するには?
- アカデミア、産業、教育の分野など、翻訳に携わる全ての分野について理解しているSuper project managerのような新しいポジションが必要
- 義務教育から翻訳を取り入れて翻訳に関する知識を底上げする
- 翻訳チェックのスコアシートに順送りというコラムも入れてみるのもアリ?
みなさま、貴重なご意見をありがとうございました。
ひとつでも気になる項目があった方はぜひアーカイブを見てみてくださいね。
来週はまた新しいテーマで配信を行います。
告知記事も書いておりますので、ぜひご一読の上配信にご参加いただければと思います!
文責:渡邉里菜