こんにちは、岡村です。

第23回配信では、山田先生から翻訳学について語っていただきました。翻訳学への理解を基に、改めて翻訳カフェの立ち位置をご説明くださいました。

翻訳学とは?

翻訳学とは何かを考える前に、翻訳学と密接に関連している言語学の発展の流れを教えていただきました。

かつての言語学は言葉を扱う上での正しさを追求する学問でしたが、20世紀以降の近代言語学では言葉を扱う上で発生する現象の記述とその構造を解明する学問となりました。つまり、言語学者といっても言葉を正しく使えるかどうかは別問題なのです。

これは翻訳学にも当てはまるとのことです。

以前は翻訳学も正しい訳出を研究対象としていましたが、近年では翻訳で起こる現象とその背景や構造を研究するという流れが強くなってきたのです。ここでも言語学と同様に、翻訳学者が上手に翻訳できるかといえば、必ずしもそうとは言えないようです。

以上を踏まえた上で、翻訳学の研究がどのように分類されているか、また山田先生の研究はどこに位置するのかをホームズのマップを用いてご説明いただきました。山田先生の研究は、純粋(Pure)研究の中の記述的(Descriptive)研究に分類され、その中でも訳出が出来上がる過程に注目したプロセス(Process Oritented)研究を中心的な研究対象とされています。

(Toury, 1995, p. 10)

参考文献
*上の図は、ホームズのマップをトゥーリーが図式化したものです。
Toury, G. (1995/ 2012). Descriptive Translation Studies and Beyond. Amsterdam &Philadelphia: John Benjamins.
*ホームズのマップについてさらに詳しく知りたいという方は、こちらをご覧ください。
Holmes, J. S. (1998/2004). The Name and Nature of Translation Studies. In L. Venuti (Ed.). The Translation Studies Reader. London & New York: Routledge. pp. 180-192.

そのような考えの下、改めて翻訳カフェについて語ってくださいました。翻訳カフェでは、研究から得られた知見を積極的に共有、活用し、翻訳にまつわる諸問題を議論していきたいと考えておられます。

Q&Aセッションでは、翻訳読者のレベルという点で質問をいただき、翻訳という産業として翻訳を堕落させないために気をつけるべきことがあるとお答えいただきました。

また、機械翻訳の台頭などによって、人手翻訳不要の可能性についての質問もいただきました。この問題は翻訳の本質に対する理解の乏しさに起因するとのことで、まずは一般の人々に本質的に翻訳を理解してもらうように努めることが欠かせないとのことでした。

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翻訳カフェでは、これまでに様々なゲストをお招きし、それぞれの専門分野のお話をしていただきました。これからも多種多様な知識をご教授いただき、それを応用し、翻訳の未来を皆さまと考えていければ嬉しく思います。

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次回の配信

次回は、大久保友博/ゆうさんにお越しいただきます。大久保さんは第5回でも一度お話してくださいましたが、次回はまた別の角度からお話をしていただきます。詳細はこちらからご確認ください!

今度はどんなお話が聞けるでしょうか。楽しみですね♪

皆さまの奮ってのご参加お待ちしております☺︎